2016年9月19日月曜日

Bettyboards part2

テープについても少し説明が必要かもしれない。
デッドがコンサート会場での録音を正式に認めたのが1984年。それまでは非公式ではあったが、マイクやデッキを持ち込んでの録音もおおめに見られていた。
そういった Audience tape や、Soundboard tape を、デッドヘッズは無償で交換して、コピーをどんどん増やしていった。Bettyboards が登場する以前にも、Soundboard tapeはあったようだ(その辺の詳しい経緯はまだよくわからないが)。

96年ころに北米の電子会議室でやり取りされたメールの一部がwebで公開されていた。
Subjectは、「What's become of the Bettys?」(ベティに何が起こった?)。
"The first great wave of Betty boards began hitting the streets by 1987. They revolutionized tape collecting."

このコメントを読んだだけで、Bettyboards の威力がよくわかる。それはテープトレーダーたちにとって「革命」だったのだ。
先ほどの会議室での発言には、
"They are not the band's tapes, but the crew's tapes."
というのもある。バンドオフィシャルのものではないというのは、認識されていたのだ。

Bettyboards 音源として有名な"5/8/77,Barton Hall,NY" は、87年の登場以来、200万本を超えるコピーが作られただろう、とデッドの伝記作者が書いている。
商品ではないので単純な比較はできないが、ミリオンセラーであったことは間違いない。

New Yorker の記事によれば、ベティさんは現在(2012年)、サンフランシスコのメソジスト教会聖歌隊のサウンドエンジニアをしているそうだ。
自分の録音したテープがデッドヘッズの間に流通しだしたとき、彼女はうれしかった、という。
「無料で流通することが大事だった。だれかがそれで儲けていなければ。わたしはそのとき本当はお金がほしかったけど」
「あのテープはわたしのものだってずっと言い続けてきた。あの音はわたしの感性そのもの。演奏しているバンドの真ん中に立っているような気分になれるでしょ。」
「バンドのメンバーは終わった演奏なんか聞きたくないと言っていたけど、あんな素晴らしいものを誰かが後世に残さなきゃいけないと思っていた」
「わたしたちはいなくなるけど、このテープはわたしたちのLegacyとして残っていくのよ」

ありがとう、ベティさん。

Bettyboards テープを持ち主から買い取り、デジタル音源にコピーする作業をしている Rob Eaton は言う。
「すべてのテープはデッドの保管室に戻さなければいけない。オークションで買った人たちにはきちんと補償する。そしてもっと大事なことは、ベティのテープが公式にリリースされるようになったら、彼女はその印税を受け取る権利があるということ。これは彼女のテープなんだから。ベティは報われなければいけない」(Relix 3/11/2014)

(Relix magazine のプリントアウトと「スケルトン・キー」)