ダニエル・アラルコンの「夜、僕らは輪になって歩く」を読む。
アメリカン・ニュー・シネマのロードムービー風の展開から、失われた15年というテーマへ受け継がれ、最後は何とも重苦しい結末へと至るところも、ニュー・シネマっぽいともいえるかもしれない。
アラルコンはペルー生まれで今はサンフランシスコに住み、英語とスペイン語の両方で作品を書いているという。前作の「ロスト・シティ・レディオ」もおもしろい作品だった。
ペルーの内戦時代のことは、前作にも出てきたが(というかほとんどそれがテーマみたいだった)、1980年に始まったというその内戦のことは、まったく知識がなく、バブルへと一直線に走りこんでいた日本の片隅で暮らしていたぼくからすれば、月面の裏側の出来事みたいだった。
その内戦は単純に言えば、政権側と左翼との戦い、みたいなことになるのだが、その「サヨク」とか「共産主義者」とか名乗っていた人たちはいまはいったいどこでどうしているのだろう?
それはつまり「サヨク」ではない人たちが勝利を収め、「サヨク」の人たちは死んでしまったか、考え方を変えたか、どこかに消えた?ということ?
そうかな。そういう理解では、なにか違うような気がするが。
カール・マルクスが死んだのが1883年。19世紀末に出てきたいろんなことの後始末がまだ全然できていないこの世界、なんだろうな、たぶん。
