2015年9月8日火曜日

生きのびよ:ORFEO

リチャード・パワーズの「オルフェオ」を読んだ。
最初はちょっと入りにくくて、しばらくうっちゃっていたのだが、途中からがぜん面白くなった。
前衛音楽家がいかにしてテロリストになったか、というようなストーリーだが、ロックンロールやビートルズもちょこっとだけ出てくるし、1941年生まれの主人公が60年代をいかにやり過ごしたか、とか興味は尽きない。

文章のリズムが歯切れよく、過去形と現在形が混在し(「歴史的現在」というのか、過去のことが現在形で語られ、「現在」のことが過去形で語られる)、現代音楽の知識がないとよくわからない部分も多いけれど、それでも面白い。

「彼女も名付けることさえできないものを求めながら死んでいくのだろう」(273p)
ぼくもきっとそうなのだ。でも生きのびよ、とこの本はぼくにうったえる。
いまはそうすることにしよう。


2015年9月7日月曜日

永遠と思える時間:Long strange trip

あのころ、60歳になることは「永遠」に等しかった。
45年前、14歳の誕生日に自分は何をもらったのか憶えていない。たぶん何ももらわなかった。でもラジオの番組でリクエスト曲をプレゼントしてもらったような気がする。
あの曲はなんだったか?

16年と半年前に我が家にやってきた猫は、最近何も食べなくなった。医者に診てもらうと腎不全だという。もうぼくたちにしてやれることは残り少ない。苦しい思いをしないで、最後の時間を過ごしてもらいたいと思うだけ。

永遠はない。猫と過ごしたたくさんの時間もそろそろ終わりが近づいているようだ。
猫は死ぬ。ぼくも死ぬ。永遠はない。あたりまえだ。

来年で60歳。まだ1年もあるのに、もう人生から引退した気分。
仕事はないし、孫は生まれたし、猫は年老いたし、永遠と思えた時間もそろそろ先が見えてきた。
これからは夜道をトボトボと歩いていく。

2015年9月1日火曜日

no messageというメッセージ:mimeographed newsletter

「ぼくらは誰にもメッセージしないというやり方で音楽を作っている。誰かに言いたいことなんて何もない。誰かを変えたいとも思わない。みんなが少しでもいい気分でいられるようなチャンスを作りたいだけだ。」
1967年3月、最初のアルバムが出た後のインタビューで Jerry Garcia が語った言葉。("Long strange trip"187p)

同時期にデビューしたサンフランシスコのバンド、モビーグレープは、多額の宣伝費を使い、1stアルバムからシングルを5枚カットするなど派手な行動で話題をさらった。
一方のデッドは、謄写版刷のミニコミ(mimeographed newsletter)を150部作って地元のファンに配った。

「ガリ刷のミニコミ」(すでに死語か?)というあたりで、がぜん支持率アップ。
ミニコミは当時の最新でチープな、コミュニケーションツールだった。ネットのない時代のFacebookだよね。

ここにこうやって書いているということは、伝記はやっとレコードデビューのところまで。192pですね。先(619p)は遠い。