2014年1月10日金曜日
Love story:バミリテープ
ヒロインは暗転ののち蓄光のバミテの作る星座の中に / 伊波真人
昨年の角川短歌賞を受賞した作者の最近の作。
本人の解説によれば、この人の作る歌は「すべて」フィクションである、らしい。自分で場面を設定し、ストーリーを考え、主人公(作中主体)のキャラクターを考え、それから歌を作る。
まるで小説のようだ。
ふーん、そういう歌もあるのかと、またひとつ勉強した。
で、この歌である。
映画監督と女優のラブストーリーを描いた連作のなかのひとつ。
バミテとは業界用語である。バミリのテープ。舞台上の立ち位置や道具の場所を覚えておくためのしるし。
かつてぼくが舞台の仕事をしていたころ、バミリのテープは仕事の必需品だった。芝居で暗転が必要なときは蓄光のバミリテープを使う。
さる劇団の二人が「ラブストーリー」という連作の芝居をしていたことがあった。ぼくはそのうちのいくつかにつきあったのだが、ある時ディズニーの特集で「ピノキオ」のパロディをやった。
30分くらいの話なのに、場面転換がやたら多くて、しかもつなぎは完全暗転で、ナレーション。決まったサイズの時間のあいだ(1分もないくらい)に、役者を出し入れし、小道具を出し入れしなければならない。
で、活躍するのは蓄光テープなのだが、場面が多すぎて、バミリも多くなる。暗転になった瞬間、舞台の上は「天の川」だー。
「ピノキオ」のヒロイン役の役者は目が悪く、暗転になった瞬間に舞台に立ちつくしている。その役者の手を引いて、毎回舞台そでまで連れて行くのが、ぼくの主な仕事だった。天の川の上を二人で歩いていく。
その役者はいまテレビで売れっ子に。よかったね。