2013年9月11日水曜日
violoncello:ほんとうはよくわからない
「無伴奏チェロ組曲を求めて」という本を図書館で見つけた。カナダ人のジャーナリストが2009年に出した本で、チェロ組曲を「発見」したパブロ・カザルスと、バッハの自筆譜と、自分自身の体験について書いている。なかなかおもしろい本だった。
著者エリック・シブリンは、もともとポピュラー音楽の評論を書いていた人で、97年にはU2のスタジアムでのコンサート評(「テクノロジーに頼ったグロテスクな巨大ステージに未来はない!」)を新聞に書いて、怒りのメールが殺到。そんなときにたまたまチェロ組曲を聴いて、興味を持ったということだ。
ジャーナリストなんだから、スペインへ行ったり、ドイツへ行ったりして、取材するのは普通のことだが、このひとのおもしろいところは、みずからチェロを習い、ダメだとわかって、ギターで弾き、バッハのカンタータを歌うために教室に通い、バスのパートを練習する。
バッハの自筆譜の多くは世界中に散逸しているようだ。大バッハの遺族たちが、楽譜を売ってしまったことと、たくさん保存されていたベルリンの図書館が空爆を受け、避難の途中で行方不明になってしまったことが大きい。
だから、チェロ組曲が、本当はどんな楽器を想定して書かれたのかも、いまもってわからないというのは、不思議だが本当だ。
少し前、S・クイケンさんという古楽器奏者が(大学の先生でもあるけど)、ほんとはこんな楽器で演奏していたかもしれない、というアルバムを出した。それが、これ。この楽器には、ショルダーチェロという名前が付いている。
賛否両論なんだと思う。チェロの音の深みはない代わり、細やかなニュアンスはでているような気がする。
