2013年8月19日月曜日
Living with the Dead:翻訳をめぐる冒険
4月から「英語で読むムラカミハルキ」というラジオ講座を聞いている。
この番組はおもしろい。しゃべっているのは東大の先生なので、ちょっと講義風の語りでもあるけれど、なんといっても、日本語がどういうふうに英語で表現されているか、というところがポイントだ。
ぼくらはずっと、英語のテキストが日本語にどうやって表現されているのか、ということを気にしながら翻訳小説を読んできたわけだし、「基本的に正しい訳」とはどういうことか、みたいなことがやっぱり気になってきたわけで。
アメリカで出版されることを前提にした小説には、「注」は付けないのが基本だということがあるようだ。日本の翻訳物は注があるのが当たり前だと受け取られているし、巻末に膨大な注を集めた本だってある。
だけど、アメリカの読者は、普遍的な表現で書かれた小説が、すぐれた小説だという前提があって、まず注は付けないようだ。必要なら本文の中で説明する。
だから、原文を忠実に英語に直す、ということがいつも正しいとは限らない。わかりやすくどんどん表現を変えている。
日本語の「台所」と「キッチン」のニュアンスの違いを英語でどう表現するのか、というような話は非常におもしろかった。
文体はそのままで個々の表現は足したり引いたり、ということがどの程度まで可能なのかどうか、ということは奥の深い問題である。
ひとこともおろそかにしてはいけないという考え方(逐語訳)もあれば、以前ベストセラーになった「超訳」というのもある。
何が正解なのかはたぶん誰にもわからない。けど、解釈や方法は千差万別、山のようにあるってことだ。
「Living with the Dead」が到着した。しっかりの分量。どっから読もうかな。
