2012年12月18日火曜日

cheek to book:生きたまま葬られ

今週の朝日歌壇から

五十年貸出記録なき本に廃棄の印を黙々と押す / 石原和美

それはどんな本かと想像してみる。
書いた人、作った編集者、出版した人、それぞれの思いはあったろうけど、どういうわけだか、誰も手にとってくれなかった。誰も家に持って帰ろうとしなかった本のことを。

最近の図書館の蔵書は全部データベース化されて、パソコンで検索できるようになっている。個人全集などは開架書庫に並んでいないことも多いので、検索して奥の閉架書庫から出してきてもらうこともある。

奥の方から出てきて、読まれた形跡があまりない本などを手にすると、なんだか愛おしくなって、本に頬ずりしたくなってしまうような気持ちになったことはないですか?

廃棄処分になって、図書館のロビーに並んでいた本を、あちこちで何冊ももらってきた。たいがいは、手あかにまみれた本だけど、なんだかまだ本のまま、置いておきたくて、自分の書棚に並べる。いつか読もうと思って、でもやっぱり読まれないまま、ずっとそこにいる。それはそれで、本の一生としては、悪くないことなのかもしれないけれど。