今から40年前の8月、毎日朝から晩までビートルズの"Sgt.Pepper's"を聞いていた。アルバムが出てからもう4年が過ぎていたが、あとから思えばきわめてリアルタイムに近かったとも言える。
あのころよくレコード交換をしていた隣のクラスの女の子には、このアルバムはあまり好きじゃないと言われてしまった。
それより今はこのサウンドよ、と言って貸してくれたのがCSN&Yの"4 way street"だった。
長男がアパートを借りて、彼女と暮らすという。いろいろ家具を揃えたようだが、自分で使っているタンスや棚は持っていきたいというので、トラックに乗せて運んでやった。
デッドを聞きながら運転席に座っていると、デッドの音楽とはぜんぜん関係なく、"Sgt.Pepper's"の"She's leaving home"が浮かんできた。
水曜日の朝午前5時、一日が始まろうとするとき
ベッドルームのドアを静かに閉めて
もっと言いたいことがあったけれどという書き置きを残し
彼女は階段を下りてキチンへ行く
ハンカチーフを握りしめたまま
裏口のキーをそっと回す
外へ出れば彼女は自由
家出の歌だ。
取りたてて言うほどのこともない歌ではあるが、14才の時に聞く歌としては、それなりにインパクトはあっただろう。
いつまでも家出の歌として記憶されている。家出とはこうするべき、みたいな。
だが、長男は家出したわけじゃない。
家出を勧めたことはあるけれど、それとこれとでは話が違う。
トラックにタンスを積みこんで、彼女と暮らすために、家を出るんだ。
うん、なんだか悪くないじゃないか。
