2011年1月9日日曜日

Money in heaven:本物のワルは誰か

木村元彦の「天国と地獄」を読む。正確には「大分トリニータの15年/社長・溝畑宏の天国と地獄」というタイトルだ。
内容はタイトルそのままだ。大分のチーム結成から現在までを、自治省のキャリア官僚だった溝畑を中心にあらためて語り直すという、とても刺激的な本である。

親会社、メインスポンサーのないチームをどう運営していくのか、そういう意味で、とても勉強になる。Jリーグを見ている人は、ぜひ読んだ方がいい本だと思う。

大分のメインスポンサーはかつて「朝日ソーラー」「ペイントハウス」「マルハン」がついていた。後ろふたつは大分県でも、九州でもない地区の企業だったところに、社長溝畑の営業力が示されるわけだが、それぞれの企業は、言ってみれば「成り上がり」である。
朝日ソーラーは、強引な営業展開で、国によってお取りつぶし寸前まで追いこまれ、ペイントハウスは、社長が体調を壊して崩壊した。マルハンはパチンコ企業ということで、リーグから締め出しを食った。

以前にも書いたことがある。地獄を見なければダメなのか、と。
地獄を見たやつだけが、生き残れるのだ、という経営者の哲学のようなものも、いつもどこかで見かける。
だけど、テーマの立てかた、夢の見かたにそもそも問題がなかったか。大分のサッカー協会も、地元企業も、まるで反応しなかった、チーム立ち上げのときに、「世界に通用するサッカークラブを作る」という夢は、賞賛されるべきものであったのかどうか。

個人の力が世界を変える。そうかもしれない。
夢を持ち続けた者だけが、生き残ることができる。そうだろうか。
夢がなければクラブチームは作れないのか。

木村さんはもともと溝畑には批判的であった。そういう文章を以前にいくつか読んでいた。だけど、この本では、本当の悪者は別にいるのだと書いてある。それは読んでのお楽しみとしよう。