2008年11月16日日曜日

New world:ポスティングの日々

ポスティングの仕事は今も続いていて、さらにこの秋以降新たな展開が始まっていた。
今まで行ったことのない街への進出である。
それはつまり、住宅地図との格闘を意味するわけで、視力の衰えがはなはだしい老獪ふたりの涙ぐましい努力の末、何とか終えることができて喜んだのもつかの間、その街には二度と行かないことになり、激しい徒労感に襲われる。

それが10月のはじめのことだった。中濃地方の秋の初めの、おだやかな晴天の二日間、僕らは地図とチラシを両手に持って、街を駆けぬけた。街の景色を楽しんでいる余裕はないが、それでも初めての街はなんとなくわくわくするものだ。
マンション、アパート専門のポスティングをしていると、それはそれでいろんなことが見えてくる。中濃地方には大きな工場が多いので、出稼ぎ労働者たちも当然多い。今は期間労働者というのだろうか、そういう人たち専用のアパートもたくさんあって、さる大手電機メーカーの寮では、全員が外国人だというところもあった。そこでは、チラシの受け取りを管理人に断られた。日本語のチラシは読めませんから、って。

そういうアパートはだいたい山の中か、田んぼの真ん中に立っていて、まわりは何もない。中心街からは当然離れている。3ヶ月や半年の限定できている彼らに、車はないだろうし、あるのはコンビニだけかもしれない。彼らの眼に見えているはずの風景を想像してみると、秋葉原を襲った彼の、荒れ果てて枯れてしまったこころの泉に突きあたってしまう。